Lesson9-3 準備期 減量・増量

減量の場合

腹痛

準備期においてスポーツ選手達がもっとも頭を悩ませているのはウェイトコントロールです。とくに減量はトップアスリートでさえ綿密な計画を練って行います

大人でさえ苦労してしまう減量は、子供にとって特にデリケートな問題となります。子供の時期には成長によって体と共に体重も増えていきます。しかし正常な成長をしているにもかかわらず、「体が重くなってしまった」と勘違いして無茶な減量を行いがちです。

指導者や保護者に相談しながら、慎重に行わなければなりません。

スポーツの種類においては体重制限や階級別の種目が存在します。それぞれの競技に合わせて体重管理、調節を行っていきますが、いずれにおいても体重の増減幅は少ない方が安全です。

急激な減量は筋肉の量を落としてしまうだけでなく、今まで正常に働いていた体機能のバランスを崩してしまう可能性が大いにあります。また、成長期に行ってしまうと体だけでなく第二次性徴の遅れにもつながりかねません。

それと『減量』と聞いて『ダイエット』を連想しがちではありますが、根本的な違いがあります。

これまで流行に現れて来たダイエット法の多くは体調管理よりも「体重を減らす」という目的に重点が置かれていました。しかし『減量』は体重を減らしつつ、アスリート向けの体を作り上げる方法なのです。

そのため指導者は流行のダイエット法をいちいち取り入れるよりも、選手の体に合わせたトレーニングや食事を考えるようにしましょう。

増量の場合

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増量は減量よりもシンプルな造りです。簡単に言えば大量に食べればよいのです。

しかしただ大量に食べるだけでは過剰なエネルギーによって肥満へと繋がりかねませんので、時と場合に応じて細かい変化を加えなければなりません。

体重を構成している要素は大きく分けて体脂肪量除脂肪量の2つです。

除脂肪量とは筋肉だけでなく、内臓部分や皮膚、骨など脂肪を抜いた分の体の要素になります。成長期の子供の場合はどの要素も成長していくのでどの要素が増えたのか分かりにくいですが、大人の場合は成長がほぼ止まっているので除脂肪量の変動は筋肉の増減が大きく関わってきます

そのため、体重を増やすためには基本的に「脂肪分が少なく、たんぱく質の多い食事」をとる事になります。

そして子供の場合は筋肉の増減だけでなく、他の要素も成長していくので「筋肉が増える増量」をちゃんと行えたか明確にすることができません。そのため子供の体重増加の際には全体の栄養を一回り大きく摂るようにしてバランスをとるようにします。

まずは成長を促し、そこから競技向けの体を作るようにしましょう。