女性アスリートの疲労骨折
女性は運動時間が長いほど骨量が多くなると言われていますが、それと同時に疲労骨折を繰り返す人が多いとも言われています。
疲労骨折とはランニングやジャンプなど、運動中の動作で骨の一部に負荷がかかり続けていき、その負荷に耐えることができなくなって亀裂が走り骨折してしまう状態のことです。そしてこの骨折のこわい所は発生直後、レントゲン写真で確認できない事なのです。
そして痛みを抱えながらも問題ないと思い、トレーニングを続けていくと負荷がさらにかかって行き、数週間後にはレントゲンでもはっきり見えるほどの骨折に陥る可能性があります。
レントゲン写真に写らなかったとしても、痛みを感じたらまず相談するようにしましょう。そしてその圧痛が疲労骨折だと推測出来たら安静にし、治療に専念してください。いくら小さな亀裂と言えども骨折には変わりないので、全治に2ヶ月かかる事もあり得ます。
なぜ女性アスリートに疲労骨折が多いのかというと、運動性無月経による女性ホルモンの減少が考えられます。
月経には女性ホルモンのバランスをとる重要な働きを持っている為、もし月経周期に乱れが生じると女性ホルモンであるエストロゲンが減少してしまい、骨密度が低下していきます。
体脂肪の減少が無月経を助長
前のページで説明したように、女性は男性に比べて体脂肪が多めです。しかしこれはもともとそういう体のつくりであるだけで、この差だけを見て太っているという証明にはなりません。
ですがアスリートにとって余分な体脂肪は邪魔なものでしかなく、記録を下げてしまう可能性があります。そのため体脂肪を減らそうとして過度なトレーニングと脂質を徹底的に省いた食生活を送る人も少なくありません。
しかしその結果、体脂肪が下がったことで「女性の体」のバランスが崩れてしまって月経周期が狂い、疲労骨折へと繋がってしまうのです。
確かにトレーニングをして筋肉量を上げ、脂質を減らすことでアスリート向けの体作りが必要となりますが、その行動により疲労骨折が多発するような体が出来てしまっては本末転倒な結果となってしまいます。
脂質は決して体に悪影響をもたらすだけの栄養素ではなく、女性だけでなく男性も必要量の摂取を行うようにしましょう。
月経不順を放置しない
月経周期を正常に戻すと疲労骨折が少なくなるだけでなく、月経が起こる時期の体重変動幅が少なく済みます。また、引退後に妊娠、出産を考えているようでしたら、なおさら気にかけていかなければなりません。
そうした環境を整えるためにも、指導者が正しい知識を持って月経管理に理解を示すこと、アスリートに理解のある医師を見つける事、生理痛の痛みを和らげる薬による変化をとらえる事など、様々な問題点をクリアしていかなければなりません。