種目によって変わる食事
一言でスポーツ選手と言ってもスポーツの種類は様々ですし、プロ、アマチュア、部活動といった形で取り組み具合の差も現れてきます。そのような状態で全員同じ食事法で良いかというと、そういうわけにもいかず、個人に合った食事を提供しなければなりません。
たとえば100m走やゴルフなど瞬発力が注目されるスポーツで持久力を上げていくことは直接的な関係を持っていないので、効率的な方法とは言えません。もちろん、持久力も瞬発力もまんべんなく育てていくことも重要ですが、トレーニングの質に合わせて食事を変えていくことも重要です。
もし持久力を付けたいトレーニングを行うのに対して食事が瞬発力を鍛えるためのメニューですと消費エネルギーと摂取エネルギーの差が生まれてしまうので、スポーツ選手に合わせて食事の質や量を変えていきましょう。
筋肉を動かすエネルギー
スポーツ選手に限らず、体を動かすためには筋肉の収縮運動が関わってきます。
この運動に必要なエネルギーは炭水化物、脂質、たんぱく質などの物質が分解することによって生み出されるアデノシン三リン酸(ATP)から供給されてきます。このATPが分解される時に出てくるエネルギーを利用することで筋肉が動くのです。
エネルギー産生には酸素を利用する有酸素系と、逆に酸素を利用しない無酸素系の2つに大きく分けられます。運動の種類や持続時間に合わせてエネルギー産生のルートを確認し、競技に合わせた食事を調べていきましょう。
ハイパワー系
ハイパワー系とは100m走や砲丸投げのように、瞬間的に全力に近い発揮する物で運動時間は30秒以下しか持続できない競技、瞬発力が注目される競技です。
この系統では運動中に栄養素を燃やしてエネルギーに変えている余裕はありません。また、運動中には酸素を取り込まず、体内にあるクレアチンリン酸を分解することでエネルギーを生み出します。
しかし量が少ないうえにあくまで瞬間的な力を発揮する為の働きなので運動時間が限られます。
ミドルパワー系
ミドルパワー系は400m走や100m競泳などのように持続時間が30秒~1分30秒ほどかかり、代謝過程で乳酸を生み出します。乳酸はたくさんのエネルギーを持っている為、グルコースへと変換されてエネルギーとなります。
また、持続時間が1分30秒~3分の競技もミドルパワー系に分類され、グリコーゲンなどの栄養素も分解してエネルギー源となります。
ローパワー系
運動時間が3分を超える競技、ローパワー系になりますと酸素を取り込みながらグリコーゲンや脂肪を燃やしてエネルギー源とします。試合が3分以上続く競技はもちろんの事、数時間単位で考えられるマラソンやテニスなどもローパワー系に分類されます。