各食品に含む危険性
ドーピングは不正に薬物などを使用することと説明しましたが、注意してほしいのは薬物のみではないという点です。たとえば栄養補助食品として活躍するサプリメントやプロテインなども決して例外ではないのです。
サプリメントなどの栄養補助食品は名前から連想できるように、栄養素が主成分となっていてドーピングとは関係がない、安心して使用することができると思い込みがちです。
しかしその思い込みが大きな落とし穴となります。
サプリメントには栄養成分だけでなく、漢方薬の成分も含まれる物が存在しますので、薬の成分がドーピングに引っかかる事もあります。また、サプリメントの成分表示欄には栄養素しか表示されていませんが、表示の最後に「など」と記載されている場合があり、気を付けなければなりません。
もしかしたらこの「など」の部分にドーピング物質が含まれる場合もあるのです。
国際オリンピック委員会の報告によると無作為にサプリメントを調査した結果、634種類のサプリメントや健康食品のうち、約94種類(14.8%)の商品に禁止物質であるステロイド(タンパク同化ホルモン)が検出されました。
もちろん、無作為に調べ上げた結果なのでこの数値が正しいとは限りませんが、逆に今回の調査で取り上げられなかった違反商品もまだあるかもしれないのです。つまり実際はこの数値より多くの商品に禁止物質が含まれているかもしれません。
また、インターネット、通信販売の普及によって国内のみならず、国外の商品を気軽に入手できるようになりました。それと同時に、危険物質が含まれている商品も簡単に海を渡れるようになってしまいました。
なぜこのような事になったかというと国によって危険物質の規定や成分表示の記載方法が変わっていたりして、そもそも外国向けに作成していない場合と、記載内容の専門用語が理解できなくて知らず知らずのうちに流通してたという場合があります。
さすがに大手企業や国同士の貿易では起こりにくい出来事ですが、個人同士で品物が流通できる世の中になってしまったので、このようなミスも現れて来ました。
そのためドーピングをしない事はもちろんの事、サプリメントを使用する際には「素性の明らかではないサプリメントは使用しない」という予防策を立てるようにしましょう。
なお、ドーピング物質、禁止薬物、ドーピングに関する情報は常に更新されているため、日頃から最新の物を確認しておいてください。ただの治療薬として長年使っていた薬品でさえ、急に危険薬物に認定されてアスリート達に衝撃を与える事は少なくありません。