ドーピングの知識
『ドーピング』とは、筋力や持久力など、競技力を上げるために不正に薬物などを使用することを言います。
世界アンチ・ドーピング規程の基本原理の中に「ドーピングは、スポーツ精神に根本的に背反するものである」との一文があり、アスリートとして絶対にやってはならない事なのです。
財団法人日本アンチ・ドーピング機構では、ドーピングを禁止する4つの理由があり、『なぜ「アンチ・ドーピング」なのか』から抜粋したものが下記の通りになります。
選手自身の健康を害する
ドーピングは薬を使用する方法が一般的ですが、競技能力を高めるために使用される量と頻度は、病気や怪我の治療のために使用されるものとは比べものにならないほど危険だと言われています。本来想定外の量と頻度で薬を使用することは体を壊してしまう危険性があるためにドーピングは禁止されています。
不誠実(アンフェア)
スポーツ界はドーピングに対してはっきりと反対の姿勢を示していますので、大会に参加するにはドーピング禁止規定を守ることが条件です。スポーツ界の参加資格としてみんなが守っている禁止規定を自分だけこっそりと守らないで有利になろうとすることは不誠実です。
社会悪
特に一流の選手には青少年に対する役割モデルが期待されています。選手が薬を使って一流になっているとなれば、必ずそれをまねする青少年が出てきます。選手が薬まみれにならなければ、大会に参加したり勝てないようでは、スポーツ文化は間違いなく世間から葬り去られます。
スポーツ固有の価値を損ねる
スポーツ固有の価値には、「倫理観、フェアプレー、誠意、健康、優れた競技能力、人格と教育、喜びと楽しみ、チームワーク、献身と真摯な取り組み、規則・法則への敬意、自他への敬意、勇敢さ、共同体・連帯意識」があげられ、これらの価値がスポーツの中で、またスポーツを通じて培われると期待されています。決して「優れた競技能力」だけに価値を認めているのではなく、競技能力は多くの価値の中の一つに過ぎません。
いくら世界記録を出したり、良い成績を残したとしても、ドーピングに手を染めた選手は絶対に認めてもらえません。
このようにドーピングは、健康への害、不誠実、社会悪といった「悪」につながるだけでなく、スポーツの価値や意味そのものを「否定」してしまうからこそ禁止されているのです。
中には何らかの持病の治療として薬を長期服用しており、その薬の1つがドーピングの欄に当てはまりやむなく大会出場を辞退、引退していったアスリートもいます。このような例も少なくないため、どんな些細な事でも薬を使用する場合には指導者や医師に相談の上、使用を考えるようにしましょう。